借入金の相続

昨日、民法 相続法編改正の研修会に参加して来ました。

東京税理士会 杉並支部と荻窪支部の共催の研修会でした。

 

「民法改正:相続法編(PARTⅡ)~遺産分割制度と遺留分制度の見直し 」

 講師は弁護士の江口正夫先生です。

9月にPARTⅠを受講し、今回はその2回目です。

非常に解りやすく、実務でのエピソードも交えてお話頂き、とても勉強になりました。

 

相続法の改正内容は

1、配偶者の居住権の保護

2、遺産分割に関する見直し

3、遺言制度に関する見直し

4、遺留分制度に関する見直し

5、相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し

6、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

があります。

既に、解説本も多数出版されており、巷でも話題になっているかと思いますので、

私ごときがここで詳細内容を書くことは控えさせて頂きますが、今回の研修を聞いて改めて

気を付けておかないといけないなと思った事項をひとつ書いてみます。

 

遺産分割協議書の中で、銀行からの借入金を誰が引き継ぐのかを記載することがあります。

賃貸用不動産は全て長男が取得し、その取得原資となったA銀行からの借入金も長男が全て負担する、といった具合です。

但し、これは相続人間でのみ有効で、債権者である銀行には効力は及びません。

銀行は各相続人に対し、法定相続分の割合で返済を請求出来ます。

これが、今までの実務での取り扱いでした、

今回、これが条文上、明確になりました。(改正民法902条の2)

 

上記のケースで、万が一長男が不動産経営に失敗し借入金を返済出来なくなった場合、

銀行は他の相続人に対しその法定相続分の請求を出来ることになります。

 

不動産賃貸業を引き継いでいない相続人としてはたまったものではありません。

これを避けるためには銀行との間で免責的債務引受契約(長男のみを債務者とする)

を締結しなければなりません。

 

相続税の申告書を作成する際に、分割協議書も併せて税理士が作成するケースが多いと思いますが、こういった事をしっかりとお客様に伝え、銀行との交渉を行って頂く事が必要だな

と、肝に銘じておきたいと思った次第です。