「家賃滞納という貧困」という本を読みました
「家賃滞納という貧困」(ポプラ新書)という本を読みました。
著者は太田垣章子さんという司法書士の方です。
この人は、家主の代理人として延べ2,200件以上の家賃滞納者の明け渡し訴訟手続きを
受託してきた賃貸トラブル解決のスペシャリストの方です。
以前にも、「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)という本の
紹介も少しさせて頂きました。
ひとり親家庭、年金暮らしの高齢者、奨学金で大学に通う大学生等々、貧困の故に家賃滞納という負のスパイラルに陥ってしまった人達の実例が数多く書かれています。
以下、引用です。
・家賃滞納の現場で出会うひとり親は、懸命に生きているのに収入が追い付かず、力尽
きて滞納に陥るというケースがほとんどです。
・最近、若年層の家賃滞納が非常に増えています。その原因の多くは、経済的基盤がなくて
も、部屋が簡単に借りられてしまうことではないでしょうか。
・翔馬さんにとって滞納金額である10万円は大金です。もともと学業が本分である学生
の場合は10万円以上滞納すると、自力では払いきれないケースがほとんどなのですが、
翔馬さんの場合は親御さんの援助は期待できなかったため、結局、部屋を明け渡しても
うことになりました。
・これが多くのシングルマザーの現実です。
一生懸命に働いても、特殊な技能がなければ、生きるだけで精一杯の生活です。
・そのような事情を聞けば、もちろん心が痛みます。とはいえ、家主もボランティアで部屋
を貸しているわけではありません。家賃を支払っていただけないのなら退去してもらうし
かないのです。生活要支援者の滞納者を救うべきは行政のほうであり、民間の家主が背負
わされてしまうのは余りに酷な話です。
心に突き刺さる、色々と考えさせられる事例がたくさん書いてあります。
著者の方の優しさとバイタリティーには敬服致します。
オススメの本です。