役員の重任登記を忘れると

不動産賃貸を法人で行っている大家さんは多いかと思います。

私も貸しビル業を株式会社で行っています。

 

以前に役員の重任登記を忘れた事がありました。

当社の役員の任期は取締役=2年、監査役=4年です。

会社法施行(平成18年5月)後は、非公開会社(株式に譲渡制限のある会社)の場合、

定款で定めれば、最長10年迄の任期とする事が出来ますが、当社の場合は旧会社法の規定のままです。

いつも司法書士さんにお願いしているのですが、たまたまその年は勘違いして1年遅れでの

登記となりました。

 

すると、東京地方裁判所から過料(行政罰)の通知が、私の自宅宛てに届きました。

代表取締役の住所は登記事項ですので、自宅に届きました。

金額=3万円でした。

お恥ずかしい話ですが、社長(代表取締役)の個人宛に届く事を私は知りませんでした。

登記懈怠の過料は代表取締役個人に課せられる(会社法976条)事を知らなかったのです。(嫁さんも地裁から封書が届いたので、ビックリしていました)

 

社長個人が負担すべきものなので、会社で支払う訳にはいきません。

以前の私なら、顧問先が同様のケースで会社が費用処理していても、法人税の申告書上、

罰課金として損金不算入(法人税法上、費用にしない事)処理をするだけだと思います。

しかし、社長個人が負担すべきものを会社が支払った場合、それは社長に対する臨時の

給与(賞与)となります。役員に対する賞与は、原則として損金不算入なので、結果として

法人税の課税所得は同じになりますが、社長への賞与ですので所得税の源泉徴収が必要となります。

会社としては単なる罰課金として費用処理していますので、源泉徴収もれとなっています。

後日、源泉所得税も納付しなければならず、こちらの方が面倒かと思います。

 

この件では、自分のミスで思わぬ勉強になりました。

少々高い勉強代でした。

 

ちなみに役員の重任登記は株主総会決議から2週間以内となっています。

2週間を超えたからといってすぐに過料となる訳では無い様ですが、どれ位だと過料が

来るのかはハッキリとは判らないようです。