中古の賃貸建物の取得価額

前回、賃貸建物を新築した場合に建物本体と附属設備等に細かく区分した方が税金計算上は有利だというお話をさせて頂きました。

 

土地付きの中古物件を取得した場合、購入金額が土地と建物に分かれていれば建物分は

その金額を使います。

分かれていない場合は、購入金額を合理的な方法で土地と建物に按分します。

一般的には固定資産税評価額の比で按分する事が多いと思います。

 

建物全体の取得価額が出た後、それを建物本体と建物附属設備にどう分けるかが、非常に

悩ましいところです。

 

売主から、購入した物件の減価償却計算の明細書が入手できれば、それを元に区分すれば良いのですが、通常はこれを貰えると思えません。

建築した会社から建築当時の資料を入手する、ということも実際には難しいと思います。

 

ではどうするか?

世間では新築コストの内、大体30%位が附属設備の分だと言われているようです。

ただし、これは新築時の話で中古物件の場合は経過年数分の減価償却費を加味しなければなりません。

H12年12月28日の国税不服審判所の裁決では、納税者が30%を附属設備にしているのを、それではダメと言っています。

又、建物本体(躯体)部分の建築費もRC造と木造では違います。

上記の30%は木造の場合ならそれ位だろうと、私も思います。

RC造だとその比率は25%位になるのでは、と感覚的には思います。

 

更に、附属設備の耐用年数は15年ですので、15年以上経過した物件では、新築時の附属設備部分の帳簿価額は1円となっています。

売主が行った修繕で附属設備の資本的支出として資産計上されたものが有るかと思いますが、この分の資料を売主がキチンと保管しているとは限りません。

 

これらを考えると、中古の物件に関しては、物件ごとにその構造、経過年数等を考慮しながらお客様とご相談の上、区分分けをするのかしないのかを含めて、検討することになるのかと思います。